2016年歯科衛生プロジェクト
2016年春のフィリピン・セブ島での活動は、3/10-3/14の歯科衛生プロジェクトと、3/14-3/18のスタディーツアーの二部構成で実施しました。
前半の歯科衛生プロジェクトには、北海道札幌市から2名、大阪府堺市から2名、計4名の歯科医師の先生方が有志でご協力くださいました。この歯科衛生プロジェクトは2010年から、セブ市郊外にあるJamesVille(ジェームズビレ)で子供たちを対象にスタートし、2012年からはJamesVille近隣のCogon地区、そして今春よりCatarman地区でも実施することになりました。
貧困コミュニティでは、医療、なかでも歯の治療に対する優先順位が低く、ほとんどの子供たちが虫歯の状態で、成人すると40代で歯がほとんどないというケースも珍しくありません。そのため、口腔環境を改善することによって長期的な視点で健康維持を図ることができるよう、子どものころから歯磨き習慣を身に着けることを目的に、子どもたちへの歯磨き指導と、親御さん方、とくにお母さん方への母親教室を実施してきました。 すでに以前ご報告したように、Cogon地区では2011年に実施した歯科検診時のデータと昨年実施した歯科検診のデータとを比較し、一人ひとりの子供たちの歯の状態が飛躍的に改善されていることを確認することができました。
今回の歯科衛生プロジェクトでは、新しくCatarman地区を訪問し、集まった約60名の子供たちに歯磨きの重要性を啓蒙する紙芝居をした後、歯科検診、染め出し、フッ素塗布を行いました。ここCatarmanでも毎週日曜日に子どもたちを対象とした青空教室が行われているため、事前に青空教室の先生方からこの日の活動の趣旨が説明されていたようで、子供たちの関心の高さがうかがえました。
この日の活動に子供さんと一緒に参加された親御さんのなかで、希望される方には、染め出しをしてご自身の歯の汚れている部分を確認していただき、汚れを除くために効果的な歯磨きの方法を体験していただきました。
そして、今回のプロジェクトのもう一つの目的は、現地の協力団体で毎週上記の3つの地区で青空教室の活動を行ってくださっている中心メンバーのアン先生とFCS現地アシスタントのマイマイ(Fhelcris Cairel)さん、そしてアン先生のネットワークの中で子どもたちへの歯科衛生教育に高い関心を持つ方々に対し、その方々が身の回りにいるコミュニティの親御さん方へ歯磨きの大切さを啓蒙していくことができるようトレーニングセミナーを実施することでした。
当日は30名ほどの成人の方々がトレーニングに参加してくださり、そのうちの半数ほどは、ご夫妻で参加してくださっていました。セミナー終了後には、アン先生とマイマイさんに対し、トレーニングプログラムを作成してくださった岩寺先生(北海道札幌市)と西川先生(大阪府堺市)から、先生方に代わって今回行ったトレーニングセミナーと同じ内容のセミナーを、彼女たちがトレーナーとして実施することができる資格を授与する認定証が渡されました。
これによって、現地の方々による自立的かつ日常的な歯科衛生活動が可能となり、さらに、今回セミナーに参加された方々の住むコミュニティにおいて、将来的にその方々を中心にして地域の親御さんがたに向けた歯科衛生の啓蒙活動が展開されていく道筋を整えることができました。